「歩積両建預金」とは?
- 「ぶづみりょうだてよきん」と読みます
- 銀行の貸付(手形割引を含む)に関連して、銀行が要請して債務者が作成する預金です
- 預金と言うものは、本来債務者が自由に使えるものなんですが、これは暗黙のうちに「払い出し禁止」となっている預金です
- これらを「拘束性預金」とも言います
- 債務者に対する銀行の優越的な立場を象徴するものですね
昔(40年以上も前のことです)はストレートに銀行が債務者に依頼していたようです
- 「1000万円の借入申し込みですか?今預金増強運動をやっているので、1500万円貸しますから、500万円定期預金にして下さいよ」
- 1000万円の手形を割引きますけど、5%の50万円は定期預金にして下さい」
- 「え?500万円の定期預金解約なさるんですか?そんなこと言わず500万円借りて下さいよ」
私が貸付係(融資係)を担当していた時代には、さすがに露骨な要請はしていませんでした
- 歩積両建預金は厳しく禁じられていましたから
- 定期的に大蔵省(今の財務省)による歩積両建預金専門の検査も実施されていました
- 銀行の本部も独自に支店に出向いて、違反していないかチェックしていました
- 自分の名誉のために言いますが、債務者に要請したことは一度もありません
- ただ、より巧妙な方法がとられていたようです
- 「社長の親戚の名前で定期預金を作ってもらえませんか?」
- 「従業員の名前でお願いします」
- 「貸し出したお金はいったん引き出してから、ほとぼりの冷めたころに定期預金をお願いします」
歩積両建預金のタチの悪いところは色々あります
- 債務者の弱みに付け込んでいます
- 「銀行の言うことを聞いておかないと、次に貸出してもらえないかもしれない」という心理に債務者を追いやるわけですね
- 必要のないお金まで借りさせられ、その分の金利負担を強要することになります
- 拘束性預金は実質使えない預金なので、無駄なものです
ただ、現在はどうなんでしょう?
- 銀行は構造不況業種とまで言われ、立場は弱くなっているように見えます
- 「銀行」対「企業」という取引で、こんな要請がまかり通るとは思えません
- 歩積両建預金は完全になくなっているのでしょうか?
- これに類する要請を銀行が行えば、それこそ債務者から訴えられる時代になっているのでしょうか?
- こんな「商慣習」はいつかは消えてなくなるのでしょうね
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